「お腹が鳴る理由」と「空腹の原因と健康効果!」
どうしてお腹は鳴るの?
1、お腹が減っている
胃腸の中が空っぽの状態になっている時、に胃腸が縮まることで発生します。「空腹期収縮」と呼ばれており、胃腸に残った残ってしまった少量の食べカスを排出するための働きです。
食後6時間〜8時間の間にこの働きが活性化し、お腹から音が発生するケースが多くあります。
2、食べ物を消化している
食べ物は、口から入ってきて胃で消化された後に、腸を経過して肛門から便として排出されます。この過程において、腸に入る時にガスが発生します。このガスが腸を動かすことで音が発生するのです。つまり満腹時のお腹からする音は、腸が動く音だといえます。
またこの時に発生するガスはおならとして排外に排出されます。
3、空気がお腹に溜まっている
あまり量を食べていなくても、お腹が鳴りやすい状態になってしまう場合があります。
早食いの人はお腹が鳴りやすくなる
早食いをすると、食物と一緒に多くの空気を飲み込んでしまう傾向にあります。空気がお腹に溜まると、腸を動かしてしまって、お腹から音が発生してしまうという現象が現れてきます。
炭酸飲料などは、空気を飲んでいるようなものなので、飲めばお腹が鳴りやすくなります。
4、刺激の強い食べ物
熱すぎる食べ物や冷たすぎる食べ物、辛すぎる食べ物を食べた時にお腹から音がする原因になります。
これは胃腸に対しての刺激が強く負担になっているために、胃腸の働きが活発になってしまい音が発生してしまいます。
5、ストレスが溜まっている
ストレスが溜まっているとお腹がなりやすい状態になってしまいます。
ストレスが溜まることで自律神経が乱れてしまいます。腸は自律神経の影響を受けやすく、バランスが崩れてしまうと腸が正常に働かなくなります。そうなると食物を消化する際に、ガスを上手く排出できなくなりお腹から音がする原因になってしまうのです。
また緊張した時というのは、無意識に奥歯を噛み締めてしまう場合があります。奥歯を噛みしめると胃腸に空気を飲み込みやすくなってしまい、その結果、お腹がなりやすい状態になってしまいます。
空腹状態がもたらす驚きの健康効果
空腹時の驚くべき5つの健康効果
(1)成長ホルモンの分泌が活発になり、肌や内臓の傷みを修復する。
(2)長寿遺伝子の働きが活発になり、老化抑制・健康維持効果が期待できる。
(3)血糖値が下がってインスリンの出る量が減ると、記憶に必要な脳内のタンパク質が活性化し、記憶力が向上する。
(4)血液がキレイになる。食べ過ぎると胃腸に長時間血液が集中し、他の器官への血液供給量が低下。さまざまの病気を誘発する原因になる。
(5)白血球の働きが活発になり、免疫力が高まる。
空腹状態になると記憶力がUPする!?
東京都医学総合研究所が行った動物実験(ハエを使った動物実験ですが、有名な『Science』という雑誌にも載ったほどの実験ですので、信憑性は高いと思います)
実験内容&結果
満腹時のハエと空腹時のハエに記憶力を試すテストをしたというものです。その方法は、ハエにひとつの香りを嗅がせると同時に、嫌がる電気ショックを与えます。後日、この香りを含む2種類の香りを同時に流すと、満腹ハエは2つの香りで差は出なかったにも関わらず、空腹ハエは記憶によって約7割が電気ショックのない香りの方に向かったという結果でした。
つまり、空腹時のハエは記憶力が向上していたということです。
空腹時のハエの記憶力が向上した理由
空腹時にはインスリン分泌量が減少し、それが脳内のタンパク質を活性化させたことが記憶力向上につながったとされています。このタンパク質は人間にも存在しているために、人間も空腹時に記憶力が向上する可能性は充分にあるそうです。
まだ可能性の段階なので、空腹が人の記憶力をアップするとは断定できません。でも、空腹が人の記憶力をアップさせるという説は定説になっています。
空腹時は人にとって危機的な状態です。人は危機的な状態になるとその状態を解決するために活動的になる。当然、脳もその状態を解決するために活動的になる。以上が空腹が人の記憶力をアップさせる説の根拠です。
空腹状態のアンチエイジング効果
空腹時には若返り遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子が分泌される
空腹時には若返り遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子が分泌され、アンチエイジングにも効果があると言われています。マサチューセッツ工科大学の研究グループが発見したこの遺伝子は、空腹時に唯一分泌され、身体内の壊れた細胞を修復する能力がある、つまり若返りに効果があるとされています。生物の寿命を伸ばす効果もあるのではないかと考えられています。
このように、空腹には記憶力アップ、身体が若返るなどとても魅力的な効果がある事がわかってきています。しかしながら、簡単に空腹状態を保てと言われても難しいのも理解できます。
空腹についての注意点
「空腹」と「空腹感」の混同
空腹は物理的にお腹になにも入っていない状態です。空腹感は空腹だと感じている状態です。後者は必ずしも物理的に空腹とは限りません。つまり空腹でないのに空腹を感じる場合があるということです。そんな状態のとき、食べてしまえば、お腹を壊したり、肥満の原因になったりしてしまいます。
どういう時に空腹を感じるのか?
空腹には「血糖値」が関係している
血糖値とは血液中のブドウ糖の量を表す値ですが、このブドウ糖の量が減ると血糖値が下がり、空腹を感じるようになります。
逆に食事をすると血糖値が上がり、満腹中枢が刺激されることで「お腹がいっぱい」という信号を脳が発信します。
早食いや大食いをすると血糖値が急激に上がってしまう
早食いや大食いをすると血糖値が急激に上がるためインスリンが一気に大量分泌されてしまいます。
インスリンは、血液中のブドウ糖を脂肪組織や肝臓に取り込もうとする働きをするのですが、大量に分泌することで血液中のブドウ糖の量が急激に減り、血糖値も急激に下がります。その急激に下がった血糖値が原因で、空腹を感じてしまうのです。食べてすぐに空腹感を感じるのは以上のようなメカニズムが体内で働いているからです。
早食い・大食いはやめましょう
正常な空腹のメカニズムを維持するために、早食い・大食いはやめたほうが良いということです。
大食いや早食い以外にも食後に血糖値が下がる理由がある
・糖尿病治療でインスリンを過剰に摂取している
・糖尿病などで内服薬を飲んでいる
・アルコールの摂取が多い
以上は、血糖値を下げる要因となります。糖尿病を行っている人で頻繁に空腹感に襲われるという人は薬が強かったり、インスリンの量が多い可能性があります。
注意!喫煙は血糖値を下げにくくする(糖尿の原因になる)
喫煙は、血糖値が下がりにくくすることがわかっています。それは、喫煙者にはインスリン抵抗性があるためです。インスリン抵抗性とは、すい臓から分泌されるインスリンが、筋肉や脂肪などに十分に働かない状態のことを言います。
喫煙者は、血糖値の高い状態が続く
喫煙者にインスリン抵抗性が認められる原因としては、タバコの「アディポネクチン」への影響が考えられています。アディポネクチンとは、体の脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンのこと。インスリンの働きをサポートして、血糖値を下げる働きがあります。しかし、喫煙すると、このアディポネクチンが減少します。タバコを吸い始めてから数時間で減り始め、その後一定時間、アディポネクチンの数値が低いままであることが、研究結果として報告されています。さらに、喫煙者のアディポネクチン濃度は、非喫煙者に比べて低いこともわかっています。これにより血糖値の高い状態が続くので、糖尿病も発症しやすくなります。
空腹の理由(血糖値の低下以外の理由)
1、水分不足
脱水症状や喉が渇くといった症状は、空腹感と似た感覚を起こします。そのため、喉が渇いているだけなのに脳が空腹状態であるという信号を送ってしまい、食後に空腹感が出ることもあります。
2、睡眠時間が足りない
睡眠不足⇒レプチンという食欲を減退させるホルモンの分泌が減少⇒グレリンという食欲を増進させるホルモンの数値が上昇
睡眠不足の状態が続くと、レプチンという食欲を減退させるホルモンの分泌が減少します。一方で、食欲を増進させるグレリンというホルモンの数値が上昇するためお腹がすきやすい状態になってしまいます。
さらに「お腹がすいた」「食べたい」と情報を伝達する2-アラキドノイルグリセロールという物質が増えるため、満腹でもお腹がすいたという情報が脳に伝達されてしまいます。
3、栄養不足
偏った食生活などを送っていると、量は足りているけれど栄養が足りず、脳が「栄養が足りない」と信号を出し、満腹なのに食べてしまいます。
ビタミン不足
特に野菜が不足すると、すぐに空腹感が出てくるとも言われています。野菜には多くのビタミンが含まれています。その中でもビタミンKにはインシュリンを正常にする働きがあるので、食欲を正常にしてくれる効果があります。
たんぱく質不足
ダイエットをしている時、肉は太るからといって食べない人が多いですが、鶏肉など良質なたんぱく質は筋肉を作るのにも必要ですし、満腹感も与えてくれます。
「野菜もしっかり食べているのに空腹感が解消されない」という人は、たんぱく質が足りているか?と考えてみましょう。
4、糖分の摂り過ぎ
甘いものを食べすぎると睡眠不足の時と同じように、レプチンという食欲を減退させるホルモンの分泌が悪くなり、空腹感を伝えるグレリンの分泌が活発になります。
そのため、「お腹がすいた!」と脳が勘違いしてしまい、食後でも空腹感が出てしまいます。
5、ストレスが溜まっている
人間はストレスが溜まると、グレリンという空腹を伝えるホルモンの分泌が活発になります。これはストレスの度合いと比例していて、ストレスが多ければ多いほどグレリンの分泌も多くなります。
ストレスはそれだけではなく、コチゾールというホルモンの数値も上がることで食欲がわいてくる可能性も高くなります。
まとめ
空腹の健康効果
(1)成長ホルモンの分泌が活発になり、肌や内臓の傷みを修復する。
(2)長寿遺伝子の働きが活発になり、老化抑制・健康維持効果が期待できる。
(3)血糖値が下がってインスリンの出る量が減ると、記憶に必要な脳内のタンパク質が活性化し、記憶力が向上する。
(4)血液がキレイになる。食べ過ぎると胃腸に長時間血液が集中し、他の器官への血液供給量が低下。さまざまの病気を誘発する原因になる。
(5)白血球の働きが活発になり、免疫力が高まる。
空腹の注意点
(1)空腹と空腹感を混同しない
(2)早食い、大食いしない
(3)空腹の時間が長すぎると情緒不安定になる