水が腐る?細菌が原因?「水が腐るメカニズム」と「腐りやすい水・腐りにくい水」を紹介
「水」とは何なのか?
「水」は基本的に腐らない
純粋な「水」とは、化学式 H2O で表される水素と酸素の化合物のことです。炭素を持たない無機質で、基本的に腐ることはありません。水を加熱してできた水蒸気を集めるなどで人工的につくられた、ほとんど不純物を含まない状態の水を純水といい、化学の実験や機械工業での機器の洗浄などで多く使われているようです。最近では、ウォーターサーバーなどでも純水を売りにしているところがあります。
水には不純物が含まれている
しかし、一般的な水道水のなかには、消毒用に使われている塩素、ミネラル、微粒子などの不純物が含まれています。自然界には、純水は存在せず、必ず不純物が含まれているそうです。この不純物が水が腐る原因となるのです。
「水が腐る」とは?
「腐る=腐敗する」とは、腐敗微生物や腐敗細菌がタンパク質などを分解して有毒な悪臭などを発生させる事
「腐る=腐敗する」とは、腐敗微生物や腐敗細菌がタンパク質などを分解して有毒な悪臭などを発生させる事です。だとすると、腐敗微生物や腐敗細菌が入っていない状態、またそれらが分解するタンパク質などが入っていない水は「腐る」ことはないと言えます。
しかし、私たちが口にしている水道水は純粋な水ではありません。微量の不純物が含まれていたり、室内に放置している間に腐る原因となる微生物や細菌等が混入したりします。このため、水が「腐る」のです。
微生物や細菌の死骸も腐る
完璧な純水でない限り、水の中には不純物が混入しています。その不純物の中に有機物が含まれていると、偶然、水に入り込んでいた微生物や細菌がそれを分解し、どんどん繁殖していきます。微生物や最近が増殖すれば、その死骸も増えていきます。その死骸も自然の摂理に従って腐敗します。
「水が腐る」と水が白くなったり、変な匂いがしたりする
微生物などが水のなかで繁殖していくと、水のなかに白い物質ができたり、変な匂いがしてきます。味ももちろんおかしくなります。
淀んだ水は、腐りやすい
水たまりなどの流れのない淀んだ水は、腐りやすいです。水の入った水槽を長期間そのままに放置しておいたりすると、緑色の藻が生えたり、悪臭がしてくることがありますが、これも水が腐っている状態です。プールの水も消毒液を使わなければあっという間に水が腐った状態になってしまうでしょう。ペットボトルの中もある意味、水が淀んだ状態です。なので当然、水が腐った状態になりやすいです。
空気中にはさまざまな微生物や細菌が存在している
空気中には、目には見えませんが、さまざまな微生物や細菌が存在しています。水は、きっちり密封していない状態ならば、どこかで必ず空気にふれています。コップに注いだ水も、開封されたペットボトルの水も、空気に触れている限り、微生物や細菌が入り込んで繁殖をしはじめます。暖かい場所や常温などの菌類が繁殖しやすい状況に水をそのまま置いておけば、おそらく一日でかなりの腐敗がすすんでいることになるでしょう。
細菌が繁殖しやすい状況
細菌は、36度前後で最も発育する
食中毒の原因となる細菌は10度から60度で増殖し、36度前後で最も発育することが分かっています。加熱調理などが多く、室温が高い状態が続く厨房などは特に注意が必要です。
洗浄不十分で調理器具に少しでも細菌が残っていると、あっという間に細菌が増殖してしまいます。菌の増殖の大半が、10度以下の低温で抑えることができます。
細菌は、水分を利用して増殖する
細菌は水分を利用して増殖します。つまり、水分がなければ最近が増殖することはないのです。
水分含量50%以下では発育しにくく、20%では発育できないことも分かっています。特に暑い季節や湿気の多い梅雨の時期は、細菌が増殖する可能性が高くなりますので気をつけましょう。
腐りにくい水・腐りやすい水はあるのか?
1、日本の水道水は世界でもトップレベルの安全な飲料水
日本の水道水は、世界でもっとも安全な飲料水だといわれています。蛇口からそのまま水が飲める国は、世界で10カ国前後しかないそうです。
日本の水道法は厳しい
日本の水道水は、「水道法」で水質基準が定められています。
水道法で定められている水質基準は、
「水道水質の安全を確保するため、生涯にわたって連続的に摂取しても人の健康に影響が生じない量をもとに、安全性を十分考慮して基準値が設定されています。」とした理念に基づいて定められています。
つまり、人々が、生活するうえで必要な飲料水を毎日飲み続けても、一生涯、健康を損ねることのない、安全な水道水を供給するための厳しい基準なのです。
水道水が腐りにくいのは、塩素で消毒されているから
水道水には、なるべく無菌状態で水を蛇口まで届けられるように、塩素が入れられています。水道水中の残留塩素濃度は、蛇口から出る水の、1リットルあたり0.1mg以上の濃度になるように義務づけられているそうです。水道水が腐りにくいのは、塩素で消毒されているからです。しかし、状態によっては腐ることがあります。
塩素は一日から数日で、水から抜け出してしまう
塩素は一日から数日で、水から抜け出してしまいます。よく、水道水の塩素臭が苦手な方は汲み置きというのをされると聞きますが、あまり長い時間置いたままにしますと、消毒用の塩素が抜け出て水に微生物などが繁殖してしまい、とてもそのままでは飲めない状態になってしまいます。ちなみに水道水を汲み置きした状態で、直射日光に3時間~6時間くらい当てつづけると、塩素が抜けるそうです。
2、浄水器を通した水は腐りやすい
浄水器は、水道水に含まれる塩素を取り除いてしまう
浄水器は、水道水に含まれる不純物や塩素を取り除き、安全で飲みやすくしてくれます。しかし、消毒用の塩素が入っていない、ということは、腐りやすいということです。すぐに使用する分には問題はないのでしょうが、浄水器を通した水をペットボトルに入れて持ち歩いたりする場合は腐るリスクが高くなるので注意が必要です。とくに暑い時期は微生物の繁殖も活発になりますので、さらに腐るリスクが高まります。
浄水器の水を冷蔵庫で保管する場合でも、一日を目安に早めに使用した方がいいそうです。温度が低くなると、微生物などの動きも不活発になりますので、少しでも保管したい場合は必ず冷蔵庫に入れておきましょう。
3、ペットボトルのミネラルウォーターも腐りやすい
ミネラルウォーターは、塩素が含まれていないので腐りやすい
ミネラルウォーターは、水道水とは違って塩素消毒をしていません。ボトルにつめる前にフィルターにかけたり煮沸したりして、きれいな状態にはなっていますが、一度ふたを開けてしまうと、外の空気に接触することで微生物や細菌が入り込み、また、口をつけて飲むことで口のなかの菌類も入り込みますので、そこから腐敗が始まってしまいます。なので、一度ふたを開けたボトルは早めに飲んでしまったほうが良いです。
なるべくボトル内の細菌を繁殖させない方法
・なるべく早く飲みきる
・あまり日の当てない
・暑すぎない環境に保存しておく(冷蔵庫の中がベスト)
・直接ボトルに口をつけずに飲む
4、煮沸して冷ました白湯も腐りやすい
「白湯(さゆ・しらゆ)」とは、何も入れていない水を沸騰させたものを言います。 白湯を冷ましたものは「湯冷まし」と言います。白湯は塩素が抜けてしまっているため、冷めると腐りやすくなってしまいます。
白湯を熱いうちに何かの瓶に入れて蓋をしてしまえば、週単位で保存可能だそうです。
5、ウォーターサーバーの水も腐りやすい
ウォーターサーバーの水は、塩素やその他防腐剤が入っていないので、腐りやすいです。なので雑菌のついている可能性のあるコップやペットボトルに長時間入れて保存することはお勧めできません。どうしてもすぐに飲めない場合は、冷蔵庫に入れる、煮沸した容器に密閉するなどして雑菌が繁殖しにくい環境に置くことを心がけましょう。
でもウォーターサーバー内の水は腐りにくい
理由は、ウォーターサーバーの水を作る工程で、殺菌し、無菌状態とした水をボトルに充填・密封しているためです。つまり、腐る原因となる微生物や細菌、タンパク質などが入らないようにしているのです。また、ウォーターサーバー自体にも水に触れる空気を洗浄するフィルターやUV等の殺菌装置が搭載されています。水を開封した後も腐りにくくする工夫がなされています。
このようにして密閉された水の賞味期限は、各社ばらつきはありますが、未開封状態で半年から1年、ウォーターサーバーにセットした開封状態では2週間から4週間程度と保存がきくようになっています。
6、井戸水は、腐らない!?
井戸水は、地下水をくみ上げています。地下水は、いつも流れているそうです。水は、動いてさえいれば、腐ることも凍ることもないといわれていますので、常に流れている地下水は腐らないのだそうです。
でも、地下水も淀む場合があるので、絶対に腐らないと断言することはできません。なので井戸水を使っている人は定期的に井戸水の水質を調べることをお勧めします。
井戸水には、腐る以外にも注意しなければならないことがある
井戸水には、有害物質が混入する場合がある
市の調査は昨年11月15日と22日の2日間にわたって行なわれ、同市上依知、金田、妻田東、妻田西、妻田北、上荻野、七沢、小野、長谷、愛名、恩名地区にある17カ所の飲料用専用の防災井戸を対象に、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタンなどの汚染状況を調べた。
その結果、恩名地区1カ所の井戸から環境基準を1・6倍上回るトリクロロエチレンが検出されたほかは、すべて環境基準以下の数値だった。市では基準を超えた恩名地区の井戸所有者に対して、県保健福祉事務所の協力を得て、直接飲用しないよう指導した。
また、市内の井戸所有者の協力を得て平成2年度から市内の8カ所を対象に行なっている定点地下水調査と汚染井戸周辺調査を11月2日、12日、13日に行ない、有機塩素系物質による地下水の汚染状況を調査した。
その結果、8カ所の井戸のうち、上古沢地区の事業所及び上依知地区の事業所の2カ所から環境基準を上回るトリクロロエチレンが検出された。
基準の超過状況は上古沢地区が2・8倍、上依知地区が23.7倍だった。この2カ所の事業所では飲料用には使用していない。また、汚染井戸周辺調査では、上古沢地区、上依知地区の周辺井戸でトリクロロエチレンは環境基準を下回る結果となった。
検出された有害物質
・トリクロロエチレン;無色透明の液体で、皮膚や目に対して刺激性を有する。中枢神経系に影響を及ぼし発ガン性を示す。
・テトラクロロエチレン;無色透明のややクロロホルムに似たエーテル臭を有する液体。強い麻酔性を示し肝臓などの器官に障害を起こし発ガン性を示す。
・シス-1,2-ジクロロエチレン;特徴的な臭気を有する無色透明の液体。蒸気の吸入によりめまいや脱力感、嘔吐などの症状を呈する。高濃度では中枢神経に影響を与える。
以上のように井戸水には、有害物質が混入している場合があるので、定期的な検査が必要です。