セルフ・ハンディキャッピングは自分のプライドを守る行為です。自分に必要な能力を磨く機会を奪う行為です。
みなさんは、セルフ・ハンディキャッピングという言葉をご存知ですか?
セルフ・ハンディキャッピングとは、自分で自分に負荷をかけ、失敗しても仕方ない状態を作ることです。
たとえばテストの前。普通なら集中して勉強しますよね。でもセルフ・ハンディキャッピング心理が働くと勉強せずに部屋の掃除や筋トレをしてしまいます。
そしてテスト前にこう思うのです。
『昨日、部屋の掃除をしたせいであまり勉強できなかった。だからテストで悪い点をとっても仕方ない』と。
『昨日、筋トレしたせいであまり勉強できなかった。だからテストで悪い点をとっても仕方ない』と。
このようにセリフ・ハンディキャッピング心理が働くと勉強以外のことに時間と労力を使い、テストで悪い点をとっても仕方ない状態を作りだしてしまうのです。
なぜこんなことをするのか?
それは自分の心を守るためです。自分のプライドを守るためです。
全力で勉強して悪い点をとった場合、すごく傷つきます。あんなに勉強したのにこの程度の点数しかとれないなんて情けないと自己嫌悪に陥り、深く傷つきます。
でも、セリフ・ハンディキャッピング心理が働き、勉強以外のことに労力と時間を使えば、テストで悪い点をとったとき、それを言い訳に使うことができます。
「部屋の掃除してたせいで悪い点をとってしまったんだ」
「筋トレをしていたせいで悪い点をとってしまったんだ」
と言い訳をいい、自分の心を守ることができるんです。
これがセリフ・ハンディキャッピング心理が働く理由です。
自分の心を守るため、傷つかないようにするためセリフ・ハンディキャッピング心理は働くのです。
この心理の裏には自己防衛本能が働いています。そのためこの心理は無意識に働きます。無意識に働いている心理なためにセリフ・ハンディキャッピング心理を理解していないとこの心理に永遠に縛られることになってしまいます。
全力で課題に挑戦するには、まずこのセリフ・ハンディキャッピング心理が存在することを知る必要があります。
この記事を読んだ方はもうセリフ・ハンディキャッピング心理を知りました。
だからあとはこの心理に支配されない行動をとるようにすればいいだけです。
テスト勉強をしているとき、他のことをしたくなっても勉強に集中する努力をしたり、上手にストレス解消する方法を身につけたりする。
そうすればセルフ・ハンディキャッピングはコントロールすることができます。
誰かに調子の悪さをアピールしたり、努力してないことをアピールすることもセルフ・ハンディキャッピングです
テストの前などに「今日は調子が悪い」「昨日夜更かしして寝不足なんだよね」「勉強あまりしてないんだよね」と友達に言ったことありませんか?
困難な仕事にとりかかる前に「自信ないんだよね」「得意じゃないんだよね」「趣味じゃないんだよね」「やる気ないんだよね」と同僚に言ったことありませんか?
僕はあります。
若い頃はそういうセリフを口癖みたいに言ってました。
なぜそんなセリフを言うのか?
自分のプライドを守るためです。
プライドを守るために「今日は調子が悪い」「勉強してない」「寝不足なんだ」「風邪気味なんだ」と言っていたんです。
そういうセリフを言っておけば、相手に「自分は万全ではない。勉強も不十分。だから失敗してもしかたない」と思わせることができる可能性が生じます。
その可能性を得ることができれば、少し安心することができます。相手に馬鹿にされずにすむかもしれないという安心感です。
この安心感を得るプロセスもセルフ・ハンディキャッピング心理が働いたことが原因です。
誰かに馬鹿にされないために『調子の悪さ』『勉強不足』をアピールして、失敗しても仕方ないと思わせようとするのです。そう思ってもらえれば馬鹿にされずにすみ、プライドが傷つかなくてすむから。
セルフ・ハンディキャッピング心理の裏では先に述べたとおり防衛本能が働いています。だから無意識に心を守る行動をとってしまいます。
つまり「勉強してない」「寝不足」「調子が悪い」というセリフはすべて無意識に言っているのです。
もちろん、世の中にはセルフ・ハンディキャッピングを理解した上で「勉強してない」「寝不足」「調子が悪い」というセリフを言う人もいます。
このタイプの人は自分の心を守るために意図的にそういうセリフを言っているのです。傷つきたくないために意図的にそういうセリフを言っているのです。
意図的にせよ無意識にせよ自分の心を守るために言っていることには変わりありません。
セルフハンディーキャップのメリットとデメリット
メリットは、
自分のプライドを守れることです。
傷つくことを避けることができることです。
セルフ・ハンディキャッピングは自分の心を守るのに有効な手段です。
さらに誰でも手軽にできるというメリットもあります。
だからセルフ・ハンディキャッピングは習慣化されやすいんです。
一度習慣化されるとテストのたび、課題に取り組むたびに「調子が悪い」「勉強してない」というセリフを言うようになってしまいます。
テストの前日に掃除や筋トレなど勉強以外のことをやる頻度が多くなってしまいます。
そうなるとそれをやめるのは困難となります。
そんなやるべきことをやらないで関係ないことをやる習慣が身につけば、自分に必要な能力を磨く力が衰えてしまいます。質の悪い努力しかできなくなってしまいます。
そうならないためにもセルフ・ハンディキャッピングを理解し、習慣化しない努力が必要です。
勉強や課題に集中する習慣を身につけましょう。上手にストレスを解消し、勉強できる体勢をつくれるようになりましょう。
良い習慣は一朝一夕に身につくものではありません。地道な努力が必要です。地道な努力ができるようになるには工夫が必要です。
世の中には為になる本がたくさんあります。その中には地道な努力を楽しんでできる方法が書いてある本もあります。
そういう本を読んで勉強してください。
セルフ・ハンディキャッピングの最大のデメリットは言い訳が多くなること
セルフ・ハンディキャッピング心理の言いなりになっていると言い訳が多くなってしまいます。
言い訳は自分を正当化する言葉です。『自分は悪くない。自分は間違っていない』と自分の非を認めないために使う言葉です。
そんな言葉ばかりを使っていると自分が本当に悪いときにも「自分は悪くない」と言い訳を言うようになってしまいます。「お母さんに用事を頼まれたから」「友達に借りた漫画が面白かったから」と人のせいにするようになってしまいます。
そうなれば他人の信頼を失ってしまいます。
セルフ・ハンディキャッピングに支配された人生は人の信頼を失うリスクを孕んでいるのです。
だからセルフ・ハンディキャッピングは理解してコントロールしたほうがいいんです。
おわりっ