【怖い話】ひょっこり顔を覗かせているセミロングヘアの女の人

何年か前、観光地にあるカフェで働いていた時の話。

私が務めだすよりもずっと前から、店内ではちょくちょく幽霊の目撃情報があったらしい。

私がオカルト好きなのを知った先輩達が色々教えてくれたけど、長くなるので割愛。

前述の通りそのカフェは観光地にあるから、繁忙期と閑散期の差がとにかく激しい。

私が不思議な体験をしたのは閑散期で、ノーゲスト、即ち店内にお客様が誰一人としていない時間帯があるような時期だった。

その日もノーゲストになってしまったので、暇を持て余した私達はみんなでバックヤードに篭り、お喋りに花を咲かせていた。

しばらく話に夢中になっていたのだが、バックヤードとホールとの間に置かれていたパーテーションの上部から、誰かがひょっこり顔を覗かせていることに気が付いた。セミロングヘアの女の人だった。

咄嗟にお客様が来店したのだと思って、「いらっしゃいませ!」と声を掛けると、女性の顔はひょいと引っ込んでしまった。

慌ててホールに出てみるも、誰もいない。

他のスタッフ達に「どうしたの?」と聞かれたので状況を説明したら、「変だよ!」と言われた。

指摘されるまで気付かなかったのだが、ひとつしかない出入り口には人感センサーが付いていて、お客様がご来店・お帰りの際にはピンポーンとチャイムが鳴る仕組みになっている。それが一度も鳴っていなかった。

次に、パーテーション。これの高さは2m弱あり、身長180cm超えの男性スタッフが背伸びをして、ようやく額が出る程度には高いのだ。そのパーテーションの上部から顔を覗かせることができるほど高身長の人は、きっとあまりいない。

そして何よりおかしかったのは、女性の顔が白黒だったこと。その時はそれが当然であるかのように不思議に思わなかったのだが、思い返してみれば、モノクロ写真からそのまま抜け出てきたように、女性の顔には色が全く無かった。

それに気付いた時はゾッとした。

明らかに不自然なのに、なんで疑問に思わず、お客様だと確信したんだろう、と。

Posted by takahashi