【怖い話】先祖の女

話は自分が中学生時代に遡る。

自分は中学2年までは成績優秀、背筋ピンとして手を挙げるタイプのガリ勉だった。

ところが中2の春休み、仲良くしていた友達が悪(酒やタバコや髪の毛を染めるくらい)を覚え、自分も真似をするようになった。

親は泣いて、学校からも「推薦に出す予定だったこに勿体ない。」と言われたが、自分はその友達との遊びが楽しくて仕方なかった。

日に日に悪事はエスカレートしていき、万引きをするようになった。(今ではとても反省している)

捕まらないのをいいことに、万引きを繰り返していたころ、自分の身におかしな出来事が毎日のように起きた。

それは、金縛りだ。ただ、普通の金縛りではなく、自分の先祖が殺しにくるという金縛りだ。

初めての金縛りは今でも覚えてる。タバコを覚え、自分の部屋で初めて喫煙をした時だ。リビングの隣りの自室でタバコを吸った為、リビングにいた祖母が「タバコを吸っているんか?!ダメやぞ!」と怒鳴ってきた。

自分は、「吸ってねぇよ!うるせぇ!」と反抗し、そのままふて寝した。すると、眠りについてまだ早い頃、ザッ…ザッ…と引きずるような足音が自室のドアから聞こえ、やがてガラガラっとドアを開ける音が聞こえた。(築100年?近い古い屋敷の為、自室は引き戸だった)

その時点で体はもう金縛りで動かなくて、耳もキーンとなっていて、初めての体験で何かもわからなくて目をギンギンに開いてドアのほうを見てた。

すると、すごいありがちで申し訳ないんだけど、黒髪で腰くらいまで長いロングヘアの、白い服の女が入ってきた。(ちなみに貞子でお馴染みのリングが世に出たのは、それから2年後くらいだったと思う)

心霊番組とか苦手だった自分は、うわぁ!と声を出そうにも、声も出なく、ただただ凝視するだけ。

するとその女は段々と近づいてきて、自分の上にまたがった。そして、自分の首を絞め始めた。

これが夢でもなく、本当に苦しかった。

顔は詳しくは見れなかったけど、あの恐ろしい目つきは忘れない。口元も、少したらこ気味で特徴的だった。

その出来事はすぐ一つ上の姉(超真面目。ちびまる子のお姉ちゃんみたい)に話すも信じてもらえず、鼻で笑われた。

それから毎日のようにそいつは現れた。時には、頭を鷲掴みにされてベッドの柵に何度も打ちつかれた。

勿論両親もにも話し、毎晩金縛りが酷いと訴えた。けど、特に大ごとにはされなく、話を流されることが多かった。

本当にほぼ毎日金縛りにあい、寝るのが怖くなっていたころ、なんとなく久しぶりに入った、家の1番奥の部屋で衝撃な事実を知った。

その部屋は10畳くらいで、広めの納戸もあり、お雛様や兜を飾る部屋で、壁の上の方には先祖代々の白黒の写真が飾られていた。

その十数枚飾られた先祖の写真の中に、いつも金縛りで現れる女がいた。写真では髪を結っていたが、目と口元が絶対にあの女だった。

そこで自分は全てを悟った。こんな立派な先祖がいる家で、非行をしているのは自分だけ。先祖が怒っているのだと。

でも悪い遊びからはなかなか抜け出せず、相変わらずの非行を繰り返していた。

ある時、二階の自分達だけのリビングのソファで姉と談話していたところ、うとうとしてしまったのだが、途端に金縛りにあった。

また例の先祖の女が馬乗りになり、首を絞めてきた。苦しくて唸りつつ、なんとか金縛りを自力でといた。(この頃には、自分で金縛りをとくことが割と出来るようになっていた)

そして近くにいた姉に、「ねぇっ!今!私金縛りにあってたのわかった?!女、みた?!」と聞いた。

すると姉は、いつものcoolな様子で「はぁ?…ふーん。」と言っただけだった。

金縛りは、あっている本人にしかわからないんだなと思った。

そうして自分の非行はしばらく続き、金縛りにもあい続けた。やがて普通に進学し、普通に就職して、段々と金縛りにもあわなくなった。

金縛りにあっても、あの女も出てこなくなった。気配はするけど、怖くて目を開けられなかっただけということもある。

時は流れて現在。

結婚して子供をもうけた。子供は数年前から絶賛思春期真っ最中。まるで自分の10代を見ているよう。(いや、それほど酷くない)

この間、子供が危険なことをやらかしたので、厳しく叱った。しかし子供は反抗して、言い訳と口答えばかり。

自分は、子供に対してかなり酷いことを言ってしまった。言ったことを後悔するくらいのこと。

その夜、久々に金縛りになった。

久しぶりの金縛りに、懐かしいなこの動けない感じ、と思っていると、瞼の向こう側に気配を感じた。

うっすら目を開けてみると、何十年前のあの先祖の女がそこにいた。(泣)
長い髪も白い服もそのまんまで、怖くて思わず震えた。

その女はゆっくり近づいてきて、『う、お、うわぁお…』と意味わからない言葉を発した。

すごい叫び声をあげながら起きた。(と思う。)

そこで、自分の子孫にあたる子供に酷いことを言った自分に、怒っていたのだと悟った。

先祖のあの女はまだ、自分。見ているのかとちょっと怖かった。だが、自分が間違った道にいかないように、いつも荒手で見守っているのだとも思える。

Posted by takahashi